Eastern medicine 東洋医学とか、acupuncture 鍼(針)って聞くと、たまに「それは私は積極的に信じないことにしています!」って方を見かけます。どうやら、そういう方が思い浮かべられるのが、東洋医学は気とか血とか虚とか実とかいろいろ「聞いたことのない怪しい単語」がいっぱい出る「リサーチの効果もない謎の医学。プラシーボでしょ。」って事らしいです。日本の若い人だと「宗教ですか?」って認識の人もいるらしい。(これは日本の鍼灸師さんに聞いてびっくり。)
2018年にNHKで「東洋医学ホントのチカラ」という番組で、東洋医学がエビデンス実はけっこう出てるよ、サイエンス的に言っても効くんですよ!って紹介されたら、反響がすごかったらしく(NHK見てる人まだいっぱいいるのねと感心した瞬間でした)、NHKは自社の「健康チャンネル」の中で「東洋医学コーナー」をつくってフォローアップしています。そういうのも後押しして、日本でも東洋医学は再注目されているらしいです。TVとかで科学的根拠があるってもてはやされて再注目パターンって「日本あるあるパターン」ですよね。が、何はともあれ、もっと多くの人が鍼灸の門を叩くのは嬉しい。
NHK健康チャンネル (東洋医学ページ)
医学技術や進歩が世界最強のアメリカにも、もちろんそういう「信じない派」の人達はいます。(ちなみに聞く感じだと中小都市の古いタイプのインテリ男性に多いです。)でも医療関係者の中では「いっぱいあるエビデンスに逆らってまで」「鍼が効かないというエビデンスがない中で」あくまで鍼を信じない!と言うと逆に見下されるため、ほとんどいません。まあ特に大都会のニューヨークだと東京と似てて「消費者が選ぶものが生き残る」世界ですので、正直単に「信じる信じない」論じゃなくて、実際に効くか効かないか、でジャッジされるので、そういう厳しい大都市で大成長している東洋医学(中医学とも呼ばれます)は、その効果を自ら証明してきて今に至る、とも言えます。アメリカの鍼灸は、1970年代に中国から来て広がりました。その浅い歴史の中で、エビデンスや医療制度に頑張って組み込まれて来てるのは、ひとえに患者さんが「鍼が効くの!良いのよ!」と叫び続けてくれた結果でもある訳です。
鍼灸をはじめて受けに来る患者さんって大きく言うと2種類いて、1)鍼の仕組みとか理解する必要も感じないし正直興味ない、説明はいいからとにかく治して!、って方と、2)鍼が良いって聞いて来たけど、仕組みに興味あるから(あるいは疑ってるから)ちょっと私に説明してごらんなさいよ、って方。ちなみにアメリカ人は殆ど1)です。
特に鍼が人生初めての患者さんの場合で、猜疑心・不安がある患者さんの場合は、ちゃんとした説明が出来ないと、患者さんが緊張してしまい、結果、患者さんの身体が「鍼に反応ししにくい」事も起こりえます。特に慢性的症状の場合、回数(4-5回かな)を重ねて、変化が見える事も多いので、初回に「WOW」な改善が出ないこともあります。(好転反応でむしろ短期的にはネガティブな感じが残ることも。)すると患者さんは「やっぱり鍼って効かないじゃん!」となり治療を継続しません。もったいない。
なので、鍼灸師はそういう患者さんにも、しっかり西洋医学的に鍼がなぜ効くのか、どんなリサーチ結果が出ているのか説明が出来たら良いですよね。
私は、もともとすべてに理論や説明を求めるタイプなので、上記2)の方がいらっしゃるとそれはもう細やかに説明します。なんならリサーチのリンク送りますよ!みたいな。
特にアメリカで鍼灸が成長しているのは膨大な数の臨床リサーチがあるからでもあり、今博士号取得最中で鍼灸リサーチを鬼のように検索・研究している私としては、胸躍る「待ってました!鍼の効果効能をシェアさせて下さい!」的瞬間なのです。
PUBMEDという、アメリカ政府機関の医療リサーチペーパー(論文)閲覧サイト
に行くと、さまざまな研究論文がシェアされていますので、それこそ何十万以上の症例、臨床リサーチを存分に検索できます。鍼は、筋肉など「痛み」を中心とした運動系から、糖尿病、がん(化学療法などの副作用緩和)、神経系、自己免疫疾患まで幅広い範囲で臨床研究がされており、すなおに「リサーチでちゃんとフェアな結果が出ている」事で保険適用や medical/health care community医療コミュニティの信頼も上がり活用の場が増えています。特にリベラルなインテリの多い大都市だと、ブームとなる訳です。(ひと昔前、ニューヨークからヨガに火がついたのよりも科学的な感じです。)
国籍問わず、みんな副作用のない自然な治癒を良いと思っている。でも西洋医学で育ったアメリカ人には目に見える臨床結果が必要。結果がいっぱい出てきたら試してみよう、ってなる訳です。ちなみにアメリカの鍼灸師は、私も含め皆、西洋的見地から鍼灸という医療行為、効果効能、リサーチ、そしてひとりひとりの患者さんの「結果予測」の説明ができるよう訓練されています。
日本でも、1500年前に中国から日本に来てから明治維新までは、鍼灸は政府公認の「メイン医療」でした。(なんで西洋医学に移行したの?って話は、ざっと言うとコレラなどの伝染病や、戦争で危惧されるケガなどに解剖学をベースにする西洋医学が強いから、が大きな理由のひとつです。(政治的な歴史は長くなるので割愛しますが。。。)
ですが、戦後日本には「エビデンス」という概念が、西洋医学と共に普及したので、西洋医学=エビデンスベース(でもって東洋医学は違う)と思いがちです。が、そもそも日本で長いこと実践されていた東洋医学でもエビデンスはちゃんと出ているのです。
WHO(世界保健機構)の鍼灸へのEndorsement(推奨)情報がよく日本の東洋医学のエビデンスニュースとしてシェアされているけれど、そんなもんじゃない数のエビデンスが日本国外、特に米国や中国ですと、存在します。それをこれからBLOGにも書いていこうと思います。これは特に鍼灸師さんに引用して患者さんへの説明や理解に使ってもらえればと思います。患者さんにも(興味ある方には)もっと鍼灸の事を知ってもらえたら嬉しいです。
エビデンスをベースに普及した海外の acupuncture。日本人の方、海外に出ると、ヨガクラスでたまたま隣合わせたニューヨーカーから「私の日本の鍼が大好きなんだけど、あなたは鍼どこでやってもらってるの?」なんてフツーに聞かれる場合もあるかもです。
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